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モフオフのあとしまつ−4話

ライター:ブロイラー


朝9時半、安物のボストンバッグを肩にかけて伊丹空港に着いた。
出発まで少し時間を持て余していたので、デッキに上がって、sevencatsさんに携帯からメールを送った。

 「お言葉に甘えてよろしいでしょうか・・・」

ぼんやりと飛行機を眺めていたら、出発時刻が近づいてきたので搭乗手続を済ませ、
返事を確認できぬまま飛行機に乗り込んだ。女満別行きの飛行機は大分年季の入った感じの小さな機体だった。
これから北海道に行くのだ、という実感がいまいち持てぬまま、
飛行機は離陸体制に入り走りだしたかと思うとあっけなく地を離れた。
機内誌の活字を追って時間を潰しているうちに飛行機は北海道上空に差しかかった。
窓から覗く下の風景は太古からそのままになっているような、広大に広がる大地だった。
そこでようやく、北海道に来たのだ!という気持ちがふつふつと沸き起こってきた。
ついに北海道にやってきたのだ。

予定を少し遅れ12時半過ぎに到着。
タラップを降りた北海道の地は拍子抜けするほど暖かい気候だった。
寒さに備えて用心深くセーターの上にベージュのダウンジャケットを着てきたが、
ダウンジャケットがいらないほどの陽気で空は雲ひとつない快晴だった。
2時から網走原生牧場センターで乗馬の予約をしていたので、すぐさま網走行きのバスで移動。
広いバスの窓から見えるのは一直線に伸びた道路とその周りに生える白樺の木だった。
日本の風景でないような感覚にハッとさせられる。
バスの中でメールをやりとりし、sevencatsさんと連絡がついた。
2日目はsevencatsさんに同行させていただけることになった。

網走原生で乗馬を楽しみ、その後は北方民族博物館へ。
ここはイヌイットなど北方民族の日用品が展示してあり、
その素朴ながらも創作の原点を見るようなデザインを
大西さんと奥様のココさんは大変気に入っているらしい。
すっかりあたりが暗くなったころ、バスと電車で北見へ移動。

この日の宿は北見グリーンホテル。クロークでチェックインしようとすると荷物が届いているという。
荷物を送った覚えはないので、戸惑ったが、見てみると∋(◎v◎)さんからだった。
中身は防寒具。わざわざこれをホテルまで届けていただいたのだ。
中には大西さんが連載を持っている情報誌「みんと」の最新号も入れていただいていた。
この日は北見の回転寿司トリトンで夕食。大阪では考えられない値段とネタに思う存分寿司を味わう。
ホテルに帰って、∋(◎v◎)さんに電話する。
∋(◎v◎)さんもブロイラーの旅の足を心配していただいていたので、
今後の予定について連絡と防寒具のお礼をしなければ。

 TRRRR・・・・
 「はい!○○です!!」

∋(◎v◎)さんの声を聞くのはこれが初めてだったのだが、一瞬圧倒されてしまうほど大きな声だった。
∋(◎v◎)さんにはお伝えした予定が二転三転してしまって申し訳なかったのだが、
それには触れられずにブロイラーの交通手段が確保できたことに心配していたので良かったと言って下さった。
 「あさって、よろしくお願いします。おやすみなさい。」

∋(◎v◎)さんとの電話を切り、次はsevencatsさんに明日の予定の件で電話をかける。
sevencatsさんもまた初めて電話する。

 「もしもし・・・」
sevencatsさんは掲示板やメールでの文章通りのすごく丁寧な声だった。

 「明日どうします?どこ行きましょう?行きたいとこあります?」
 「いいですか?アエプと・・・あとチネケップ湖!」

あつかましくもお願いしてみた。アエプというのはモスモスで活躍した写真家・増田秀夫さんがやっているパン屋。
そして、チヌケップ湖は観光地化されていない手つかずの自然が残っている、と∋(◎v◎)さんが薦めてくださったところだ。

 「じゃあ、明日の朝ホテルの前まで迎えにいきます。」

北海道初日の夜だった。

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