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物言わぬ雄弁者の群れ〜シゲチャンランド〜(1)

ライター:ねこん


路の両端は、北海道の短い夏を謳歌する雑多な草花たちに侵食されかけて、
釧北国道は緑の回廊と化す。阿寒湖方面から北上し、やがて自己主張の強い植物の群生は、
軍人の如く勇ましく伸び上がり規律正しく整列する針葉樹林にとってかわる。

この辺りから「愛林のまち 津別町」の始まり。
目的地、その真紅の砦は緑一色の大地に意外なほど違和感なく佇む…
それは草原に咲く花の様に求めし者を招き入れる道標の如く静かに座している。

極楽美術館「シゲチャンランド」
そこの主役たちは、夥しい数のオブジェ群。
しかし、それをオブジェと呼ぶのは非常に似つかわしくない。
作者の大西重成氏の言葉を借りるなら「やつら」とか「あいつら」がまさにぴったりだ。


最初にランドを訪れてから3年程です。
上の子が3歳になり、たまに遠出でもと津別町を更に逆登り
生田原町の「チャチャワールド」という木のおもちゃの博物館を目的に家族旅行へ行きました。
天候不順で1泊2日の日程は終日、霧雨に包まれながらの旅でしたが、
目的は館内が中心で子供も大いにあばれて満足したようで車中、
池の鯉のように口を開けて眠っておりました。

帰りの車中、前にラジオでちょっと触れていたランドのこと
 (ラジオ派なので興味がありそうなところをよくメモったりする。内容は
  「もうすぐ今年のオープンです。新作も登場しますので来て下さいね」
  といった感じで工芸館だと思っていました)
を思い出し、「津別町相生ってこの辺だよね。」と路を進める中、
静かに乱舞する霧の先から浮かび上がってきたのが冒頭の「真紅の砦」です。

車は数台泊っていますが静かな園内。
 「子供ら寝てるし、ちょっと様子みてくるわ」
と霧の中、ジャンクなゲートを通ると左側にチケットハウス。
人影は無く、ちょっとガムランに似た民俗音楽が流れ、霧はこの音に反応して舞っているかのようだ。
各ハウス間にかけられたロープに結ばれた布切れが霧の中、静かにたなびき
「アイハウス」や「ノーズハウス」の入口にかけられた簾状の暖簾が揺れて
小刻みにカラカラと鳴り、流れるに任せてある蛇口からこぼれる水の音…

建物の入口には「鼻」とか「目」の文字が見える。
最初に「ハンドハウス」をのぞいてみる。
「えっ?やばい?」何の予備知識もなかった自分の正直な最初の印象です。
高い天井から触れ合うほど吊るされたレコード盤、ボーリングのピン、波に洗われた板切れ等の類。
その中に、ほぼてっぺんまで幾段にも連なりそびえ立つ祭壇状の物体。
中にはご神体を思わせる丸顔の涅槃像(?)
しばし呆然と見上げた背後から砂利を踏む人の気配…。
心の中には勝手に「教祖様」のイメージが湧き上がってきました…

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